在宅ケアを支える人たち(1)

がん患者さんの在宅ケア どのように始めたら?

 がん患者さんやご家族が「家で医療を受けたい」と思ったら、まずは訪問診療をしてくれる医師を決める必要があります。また、病状の管理やカテーテル管理などの医療処置をする訪問看護サービスを利用すると心強いでしょう。介護保険のサービスを利用する場合にはケアマネジャーにケアプランを立ててもらうことも必要です。
 いま入院中で、病院での治療が終わったら家に帰りたいと望まれる方は、まずその思いを病棟の看護師など病院スタッフに伝え、相談してください。大きな病院であれば以下のような相談窓口や退院支援部門がありますから、こちらに相談しても良いでしょう。退院する前に、できる限り早く相談を始めることをお勧めします。


■病院の相談窓口

 「医療相談室」「医療社会福祉部」「地域医療連携室」などの相談窓口に相談しましょう。医療ソーシャルワーカーや看護師が、在宅医療を行う医師や訪問看護師を紹介してくれます。医療費や生活費の相談、介護保険の相談など、患者さんの退院後の生活面も含めた様々な相談に対応します。


■病院の退院支援チーム 〜入院中から計画的に在宅ケアの準備をします〜

 入院早期から退院計画を立て、患者さんがスムーズに在宅ケアを開始したり、転院ができるよう支援する「退院調整」の部署がある病院があります。看護師やソーシャルワーカーが患者さんやご家族の希望を聞きながら、より良い在宅ケアが続けられるよう、入院の段階から一緒に考えます。
 退院支援の流れを名古屋大学医学部附属病院の例で紹介します。


■名古屋大学医学部附属病院の退院支援の流れ
名古屋大学医学部附属病院の退院支援の流れ
  • 入院中から退院支援の担当者が病棟を訪問して患者さんの状況を確認。
  • 退院にあたり地域の在宅サービスの調整が必要と判断された場合、退院支援チームに依頼。
  • 退院支援チームは、医師・看護師・ソーシャルワーカーの3人で支援を開始。主治医・担当看護師・本人・家族から情報を収集し希望を確認し、できる限り本人の希望に沿うように退院先を検討し、退院支援計画を立てる。
  • 転院先の検討や在宅療養の準備を始め、転院であれば病院へ、自宅であれば地域やサービス担当者への連絡調整を行う。
  • 必要に応じて地域スタッフと病院スタッフが集まり、患者さんの情報を共有するためのカンファレンスを行う。

 このほか、地域の相談窓口やインターネットを活用して、ご自分で情報を集めることもできます。平成18年4月から、40歳以上の末期がん患者さんに介護保険が適用されることになり、また、平成19年4月には「がん対策基本法」が施行されました。こうした制度の後押しもあり、在宅ケアを含めがん患者さんを支える地域の医療・福祉資源も整備されつつあり、情報提供も進められています。


■地域の相談窓口

■訪問看護ステーション

訪問看護ステーションは、地域の診療所と連携し、様々な患者さんを在宅で看護していますので、多くの情報を持っています。患者さんの状態や希望に応じた適切な在宅医師を紹介することが可能です。

■居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)

介護保険の対象者(65歳以上の方と40歳以上の方でがん末期の方)の場合は、訪問介護や訪問看護、訪問入浴、福祉用具貸与、住宅改修などの介護保険サービスを受けることができます。居宅介護支援事業所のケアマネジャーに相談しましょう。

■市町村の窓口

介護保険課や高齢福祉課など、役所の窓口で相談することができます。
医療費に関する相談は、国民健康保険課や社会保険事務所などに相談しましょう。


■がん診療連携拠点病院の「がん相談支援センター」

 「がん診療連携拠点病院」は、がんに関する診療体制や設備、情報提供、他の医療機関との連携などについて、国が定めた基準を満たしているとして、都道府県による推薦をもとに、厚生労働大臣が指定した病院で、がんに関するさまざまな相談を対応する「がん相談支援センター」が設置されています。


■患者さんやご家族からのがんに関するさまざまなご相談を、無料でお受けしています。
■がん診療連携拠点病院で診療を受けていない方でもご利用いただけます。
■病院により利用日や利用時間、利用対象者が異なり、予約制であったりしますので、
 各病院に事前にご確認ください。

 ●がん相談支援センター


■インターネットで探す

<訪問診療をする在宅医師>
■愛知県医師会「あいち在宅医療ネット」

 ●あいち在宅医療ネット|愛知県医師会在宅医療対応医療機関検索システム
 在宅医療に対応可能な愛知県医師会会員医療機関の情報を提供

■名古屋市医師会「医療機関検索」

 ●名古屋市医師会医療機関検索
 名古屋市内約1,700の診療所・病院から在宅医療の種類で検索することができる

■独立行政法人福祉医療機構「WAMNET」

 ●在宅医療でさがす
 全国の医療機関から、在宅療養支援診療所など健康保険法等の規定により
 一定の基準が定められている在宅医療の種類から検索することができる


<訪問看護と居宅介護支援事業所>
■財団法人名古屋市高齢者療養サービス事業団

 ●http://www.nks.or.jp/
 名古屋市内、全16区に訪問看護ステーション・ケアマネージメントセンターがあります


<介護サービス事業者>
■名古屋市「NAGOYA介護ネット・介護サービス事業者情報検索」

 ●NAGOYAかいごネット - 介護事業者詳細情報
 サービスの種類や所在地から介護サービス事業者情報を検索できます


■退院前にできるだけ準備を

 在宅ケアのための準備を入院中にどれだけできるかも重要なポイントになります。衛生材料の準備や吸引の準備なども必要ですが、最も大切なのは患者さんと家族の心の準備であり、在宅ケアへの不安を少しでも軽くすることで在宅ケアを継続することができます。
 また、訪問診療をしてくれる医師が見つかったら、退院の前に家族だけでもその医師のところに行ってみるとよいでしょう。その時には病院医師に紹介状を書いてもらい、持って行くことをお勧めします。


■在宅での検査や治療について

 簡便な検査については自宅で行うことができます。
中心静脈栄養、在宅酸素療法などの高度な医療についても、医師や看護師の管理や指導のもと在宅で行うことが可能です。
薬は、院外処方の場合は処方箋を調剤薬局に持っていく必要がありますが、宅配してくれる薬局もあります。

<在宅ケアでできる検査や治療>

■検査:採血、検尿、心電図、酸素飽和度測定、超音波など
■治療:麻薬による疼痛緩和、点滴、在宅中心静脈栄養、経管栄養(胃瘻、腸瘻、鼻チューブ)、
    在宅酸素療法、在宅人工呼吸器治療など


■在宅ケアを選択しても、病状によって病院に入院することはできます

 在宅ケアを始めたら、もう病院には入院できないということではありません。患者さんの状態によっては病院での治療が必要になった場合は、在宅医師から病院を紹介してもらうことができます。


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